2022年3月に東温市に移住し、「むぎの穂保育園」を創設、「愛ある保育」を実践する出原大(いずはらだい)さん。
移住の経緯や東温市の印象、また今後の展望などについて聞いてみました!
⚫︎移住の経緯を教えてください。
出身は大阪府です。兵庫県の聖和大学(現・関西学院大学)で学んだのち、聖和幼稚園でクラス担任を20年、園長を10年務めました。
勤めていた幼稚園との交流があったことから、愛媛県の松山東雲女子大学の教壇に立つことになり、5年前に愛媛県での勤務が始まりました。
そのときは任期が終わったら大阪に帰るつもりでいたのですが、愛媛で勤務する間に東温市の人たちとのつながりができたこともあり、東温市の自然豊かな環境で保育がしたいという思いが生まれました。
また、保育園をつくりたいという思いが強まったきっかけのひとつに、保育実習に行った学生たちと共有した様々な「保育の課題」を解決したいという気持ちもあります。
そのような経緯から2022年の3月に東温市に移住して、むぎの穂保育園を創設しました。
⚫︎東温市に移住してみて、いかがですか?
移住して本当に良かったと思っています。地域のみなさんとのあたたかなつながりの中で、支えていただきながら保育園を運営しています。
保育園の活動の中で、園の外に散歩に行くことがあるのですが、地域のみなさんがとてもあたたかく声をかけてくださります。また、散歩に行った際、豊かな自然に触れることができるのもありがたいです。
川があり、植物もあり、虫の観察などもできるので子どもたちが生き生きと活動することができています。
⚫︎保育園で大切にしていることを教えてください。
一言で言うと、「愛」です。保育・教育に最も大切なものは愛だと思います。子どもたちも、保護者の方や職員などの大人たちも、愛が感じられるような場所であることを大切にしています。
「愛ある保育」を実践するためには自然豊かな環境が必要です。人間の五感が最も豊かな幼少期に、自然の中で見て、聞いて、感じて、十分に五感を働かせて遊ぶことは大切だと考えています。
繰り返しになりますが、東温市は豊かな自然環境があり、「むぎの穂保育園」が目指す保育に必要な環境が整っています。
また、大人が課題を与えて「やらせる」のではなく、子どもたち自身が「やりたい!」という気持ちを尊重することも大切にしています。同じ課題を与えて競わせたり評価したりするのではなく、子どもたちそれぞれの発達、個性に合った遊び(活動)を見つけていけるよう、心がけています。
⚫︎今後の展望を教えてください。
「むぎの穂保育園」は、この1年では県内だけにとどまらず全国各地、また国外(韓国)から合わせて1000人以上の訪問があるほど、実践している取組を注目していただいています。
保育園を創設する前から行っていた保育の勉強会を今でも「むぎ会」という名前で毎月継続しているのですが、そこにもたくさんの方に訪れていただいています。勉強会には県外から来られる方もいます。
このようにこれまでも保育の理論、実践をたくさんの方に共有してきましたが、今後は「むぎの穂保育園」で培ってきた「愛ある保育」「自然の中で遊ぶ豊かな保育」の取組をさらに発信し、このような保育の意義や効果をより多くの人に知ってもらいたいと思っています。
(※むぎの穂保育園さんのホームページはこちら)
⚫︎まとめ
大阪で生まれ育ち、長年の経験を活かして国内外から注目される独自の保育を実践する出原さん。出原さんの目指す保育には、東温市の豊かな自然や地域のあたたかなつながりが不可欠なようです。
すでに国内外から注目されている出原さんの取組は、これからも意欲的に発信され、各地で保育のあり方をあらためて考えるきっかけになることと思います。