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暮らし体験談

20〜40代ファミリー既にお住まいの方移住者の体験談

「こういう時間の過ごし方や生き方もありなのかな」 ー半農×半芸ー

こんにちは!

東温市移住コンシェルジュです。
東温市に実際に移住された方に、その思いをお聞きする「移住者インタビュー」。

今回は、東温市で地域おこし協力隊として活動されている高山 力造さんに移住後の生活や、協力隊活動についてお話を伺ってきました。

移住(協力隊着任)までの道のりを教えてください。

福岡市/北九州市で舞台芸術に関わる活動をしていました。(主に演出家/俳優)

劇団で舞台創作をやったり、舞台演技の講師や地域の市民劇団の演出の仕事をやってました。

愛媛を拠点に演劇創作をしていた妻と出会い、愛媛に移住を考えていた矢先、シアターねこの鈴木さんに紹介いただいて、応募しました。

演劇を始めたきっかけは?

大学の演劇部に入ったときがスタートですね。それまで演劇には全く興味なかったんですけど・・・
学校で行く観劇も、観ていて面白かったのはお能とか、狂言とかですね。

演劇自体はむしろ「嘘くさくてダサイな」みたいに思ってたんですよ。

そんな僕がなんで演劇を始めたかというと「ガラスの仮面」という漫画を読んだのがきっかけです。
演劇って「狼少女」になるのに、本当に山の中で何週間も役作りをするんだと思って。

映画だと海外の俳優さんが役作りで20キロ位痩せたとかも聞きますよね。演劇でそこまでやるというのが衝撃でした。

入学当時演劇部に声をかけてくれた先輩がいて、そのまま入部しました。
たぶん「ガラスの仮面」を読んでいなかったら、演劇部に興味を持ってなかったです。

演劇で燃え尽きていた大学時代

初舞台は大学一回生の時ですね。入ってすぐで人数が足りないので、1年生も何人かキャスティングしてもらいました。
学生演劇でも自分たちで企画して、公演して、お金も頂くんです。500円くらいなんですけどね。

お金を頂いて、全部自分たちで運営していくっていう体験が初めてでした。

学校が用意した「このブースを使ってなんか好きなことやっていいよ」というようなお膳立てがあるわけじゃなくて。
僕は舞台美術などを作るスタッフだったので、舞台道具を作ったり、木材を買い出しに行ったり、予算組みも自分たちでしてました。

演劇って3か月位かけて、こんなことをするんだって思いました。

1回目で充実感があって、大学時代は演劇で燃え尽きていましたね。

演劇が自分の夢になったということですか?

就職氷河期に「どうやって生きていこう」みたいな葛藤がすごいあったんですよ。

卒業後はしばらく衣料品店で働きながら、演劇を観るのはずっと好きでしたね。働きながら、観劇したり、後輩の手伝いをしたりしてましたね。

27歳の時に卒業後に後輩が旗揚げした劇団「village80%」で演劇を再開しました。

今になって振り返ってみれば、演劇を続けていくには稽古場所が無料」とか、「ほとんど経費がかからない」とか、「地元に実家があって、実家のお世話になれる」みたいな団体がやっぱり残っていくんですよね。

僕がやっていた劇団は大学の演劇部が母体なんですけど、ほぼ県外からのメンバーだったので、大学の後輩たちにお願いして稽古場を借りたり、協力してもらったりっていうおかげで続けられましたね。

演劇部に入ってすぐに野田秀樹さんの舞台の映像を先輩が観せてくれて。

野田秀樹さんの作品との出会い

野田秀樹さんの「キル」っていう作品の初演の映像を観せてもらった時にこんなにクレバーだし、動くし、説明的でない表現がたくさんあったうえで、映像でもあんなに感動できるんだとのめりこみました。

観れる演劇の数って地方だと少ないですよね。

「キル」と出会ってからは、絶対本物を生で観たい!と思って、東京まで観に行くようになりました。

大学3年生くらいから毎年、野田さんの新作とかを演劇部の仲間と集ってみんなで観に行って、そのついでに下北沢とかで3、4本別の作品も観て帰ってくるみたいなことをやってたんです。

良いものが観たかったっていう思いがすごく強かったですね。

東温市に移住して良かったことは?

憧れていた自然農法の家庭菜園ができて良かったです。空気がきれいですね。


野菜の収穫をする高山さん

どんな野菜を作っていますか?

トマト・なす・とうもろこし・オクラ・さつまいも・ゴーヤ・きゅうり・にんじんなどです。
今は忙しいので、ネギとニンニクしか生えてないです(笑)
ほんとに自分たちが食べる分だけみたいな。
奥松瀬川(おくませかわ)のぽんぽこ農園を2区画借りて、種から育てられるものは種から育てています。

道具は全部置いてくれているし、初心者がやるには良い場所だなと思って。
動物は、猿、鹿、たぬき、猪、ハクビシンなどを見かけます。でもぽんぽこ農園は柵をしてくれているので、猪の被害はないんですけどね。

畑に行くのは、夏場は週に2、3回。日が長いから行ける時間の幅があるので。今は栽培種類が少ないので、週に1回位です。


収穫したばかりの新鮮な野菜

▽ぽんぽこ農園はこちら
http://okumatsu.org/rentalfarm/

今までに農業経験は?

一切なかったです。農家のアルバイトを1回だけ。東温市に来る前の年に七草のパックを詰めるバイトが北九州の「合馬(おうま))」って所であって、そこで演劇の仲間とバイトしたんですよ。

畑で長時間土をいじるみたいな体験は初めてでした。

太陽の日差しを浴びて仕事をしてる時に「こういう時間の過ごし方もあるんだ」っていう感覚がありました。

ひたすら土のにおいと日に当たっていると、街中で暮らしてるときにストレスを感じていたのかもなって初めて気づかされたような気がしました。

「こういう時間の過ごし方や生き方もありなのかな」って思って、そういう生活にどうやったらなれるんだろうって考えてました。

奥さんと出会って、「愛媛に移住する方法はないかねって話になり、演技を教える仕事が愛媛にあるかなどを調べようとしていたら、協力隊の募集があることをシアターねこの鈴木さんから聞きました。

ただ最初にくぎを刺されました。「小劇場の演劇の人と肌が合うかどうかはわからないけどね」と。

でも移住するきっかけとしてはいいのかなと。畑に憧れもあったし、田舎ならできるかもと思いました。

期待はあったけど、経験はなかったですね。

栽培は全て自己流?

そうですね、本を読んで見よう見まねでやってました。地域の方からも色々アドバイスをもらったり。

初めてやることって、こんなにも色んな学びがあるんだと楽しかったです。

40歳を過ぎて初めてのことってなかなか挑めないですよね。

普段何気なく食べている野菜がこうして作られていて、農作業なんて全然わからなかった人間が、今は畑を見て何を植えているかだいたいわかるようになってる。

知らないことがこんなにあるんだっていうのをこの歳になって感じられたのはすごい良かったです。

東温市に住んで困ったことは?

中山間地域に住んでいるのですが、「公共交通機関」ですね。

地元の広島も、住んでいた福岡も駅の近くに住んでいたので車は必要なかったんですよね。

都市部でずっと生活していたので自転車か徒歩で生していたのですが、今の暮らしでは車がないととても不便なので、車に依存する生活になってしまいました。だからこちらでは一人で飲みに行けなくなっちゃいましたね。

運動不足になりがちで、加齢もあって健康維持に気を使わないとまずいなぁと感じています。

あとは「田舎の作法」がわからないですね。

僕、夜に稽古とかクリエーションの時間を取るので、夜の集まりとかミーティングにはほぼ行けないし、視察に行ったり、イベントをやったり・・・土日も埋まってしまっていて。地域の行事は土日に組まれてるので、参加が難しかったですね。

それまでの生活環境やどういうところに住んでいたかで、「合う・合わない」はあるだろうなぁと思いました。

舞台芸術をやっていなければ、僕も参加できたのかなとは思います。

要はアートでなく、中山間地域の担当で協力隊として来ていればもっと積極的に入れたんだけど、違うミッションで入っていて中山間地域に住んでいたので、正直戸惑いもありましたね。

オフの日は何をしていますか?

何がONで何がOFFかわからなくなってますね。でもまぁ結局畑をやってる時が一番OFFな気はします。あとは本を読むくらいですね。

東温市のオススメスポットは?

滑川ですね。滑川渓谷の秘境感が好きです。

こっちへ引っ越してきて、写真を見て「おぉ、なんかすごそうだな」と思って、一人で行きました。
そこには見たことない景色があって、なんか龍神様とかのイメージってあぁいう所からきたのかなって。

滑川渓谷はぜひみなさんに行ってほしいですね。


滑川渓谷「奥の滝」

東温市の良いところは?

「ちゃんと美味しいものがある」飲食系のクオリティの高いお店が多いと思います。
焼き鳥屋の「鳥松」がすごい美味しい。あと「ネジマキカフェ」とか、「ベーカリービーンズ」とか、「マーズ」も。

産直市の野菜も安くて美味しいし、新鮮なものが手に入ります。リタイアして住むにはいい気がします。
畑の場所から街に出るのに苦労するわけでもないし、車で30分で松山市まで行けるし。

「食」は大変満足です。

地域おこし協力隊

地域おこし協力隊としてのメインの活動は?

アートヴィレッジとうおん構想担当なので、舞台芸術の企画実施や普及活動です。

これまでに、コンテンポラリーダンスの作品や、インプロのワークショップなどを多数企画・開催しました。
アーティストとして本来の自分のスキルを活かせる現場がつくれた時はやりがいを感じますね。


2018年4月にオープンした東温アートヴィレッジセンター

高山さんの得意なパフォーミングアーツは?

僕は演劇でも身体表現の強い作品とか、コンテンポラリーダンスのアーティストとのつながりがあるので、そういう企画はやれるし、そこの魅力は伝えられるとは思うんですけど・・・

入口としてどう設定するかみたいなことはほんとに難しい…難しいというかわからないですね。
「10年くらい生活しないと分からないのかもしれないなぁ」とは思います。逆に言えば「本当は必要ないことなのかもしれない」とも思うんですよ。

お祭りの「獅子舞」とかの「郷土芸能」が残ってて、都市部にはそういうものがないから「演劇」だったり、「ダンス」だったりがあるのかもしれない。だから余計なことの可能性もある、とも思ってるんですよ。

極端なことを言うと黒船みたいなもの。僕たちがよそのカルチャーを持ち込むみたいなことが、果たして本当に求められているのかどうかってわからない。

求めてないかもしれないけど、必要だよねっていうロジックが持ててるのかっていうのも、僕もちょっと定かじゃないし、ふんわりしているし。

色んな人が行き来して、色んな文化が流通することが良い街ですよねっていう価値観で僕は生きてきたけど、そうじゃない価値観もあるのはよくわかったし。

だんだん人が減っていって先細りになって。っていう危機感はちょっとあるけど、それを仕方ないと受け入れる選択肢もあるよな、と。

高山さんにとって、「舞台芸術で地域おこし」とは?

本当に難しいですね、地域おこしって。地域おこしで、しかも舞台芸術でって。

だから「坊っちゃん劇場」が踏ん張って10年以上やりましたっていう事で、何か生まれてるものはあると思うんですけれども、東温市に生まれてずっと過ごすのであれば、それもいいのかもしれませんが、外に出て違う価値観に遭遇した時に、それが自分の育った街にあったのかなかったのかっていうのは重要で、外に出る前に触れられる機会が少なかった子供たちは、これからどんどんしんどくなるんじゃないでしょうか。

その身体的文化資本みたいな話を平田オリザさんが言ってましたけど、でも結局それを選べる環境にあるかないかってのは大きな違いで、機会は作ったなぐらいの感じではいます。

でも、新しいものでもないんですけどね。結局松山ではあったはずのものなので。だから東温市でやる意味合いみたいなことをどうやって見出していくのかっていうことが、たぶんこの先の役割なんじゃないんですかね。

一押しの企画を教えてください。

東温アートヴィレッジセンター アトリエNESTで「赤鬼」(作:野田秀樹)を

企画/演出で上演します。

日時:2019年1月18日(土)14時〜/19時〜、1月19日(日)13時〜

20年以上前に書かれた戯曲ですが、

《異文化/他者をどう受け入れるか、またどう排除されていくのか》

考えさせられる演劇です。

《演劇》が上演される意義を体感していただける作品になっていると思うので

ぜひ観に来てください。

▽高山さんが代表を務める「SCHOP PROJECT」についてはこちら▽
愛媛県中予地域を拠点に〈演劇〉を楽しむ場を作っていくプロジェクトです。2019年4月始動。

《演劇》をより楽しむためのワークショップ企画や既存の戯曲上演に取り組んでいます。

https://www.facebook.com/schop.project/

稽古はどのくらいの頻度で行っていますか?

週3回。1回だいたい3時間くらいですね。

「赤鬼稽古風景」

会場をアトリエNESTにした決め手は何ですか?

協力隊の活動でも関わっているので、1回は使いたいと思いました。「アトリエの使い方のバリエーションをもう一つだけ提示できないかな」っていうのもあります。

NESTの中でダンス公演を去年の12月に企画した時に、アーティストと相談して「シアター(小劇場)でどうですか?」って最初言ったんですけど。

やっぱりシアターがどうしても固定席なので、フィジカルで自由な表現に適した空間のアレンジができにくいんですよね。

だけどアトリエは広い空間なので、逆に言えば複雑な照明とかはできないんですけどただ空間の使い方、見せ方みたいな事のフレキシブルさはすごくあって、ほんとはああいう空間のデザインからやれる小劇場があったらいいなと思っていたので、アトリエの活用方法としてもう一つだけ提案したいと思いました。

出演者の年齢層は何歳くらいですか?

若い方は大学1年生から、50代くらいまでです。

10代、20代、30代、40代、50代、全てまんべんなくいますね。ほとんど女性なんですけど。

経験豊かな方もいるけど、演劇始めたばかりの松山大学の演劇部の1回生もいますね。


「赤鬼稽古風景」

出演者は東温市近郊の方が多いですか?

松山市民ばかりです。
小劇場になじみのある人が、まだ東温市には数えるほどですよね、きっとね。
こういうのやりますよってプレゼンテーションが行き届いていない可能性もあるんですけど、馴染みがないことにはやっぱり人間って行かないじゃないですか。
ミュージカルは馴染みのある方が結構いるから、参加しやすいのかもしれないけど、演劇はなかなか時間はかかるだろうなと思っています。

一緒にやれる人を探したり、育てたり、一緒にレベルアップしていける人は単純に人口比の問題で東温市で一人いたら、たぶん松山に10人はいるみたいなことですよね。
ちょっとずつ何かやっていかないと根付かないだろうなとは思います。

東温市の「協力隊活動」に興味を持たれている方へ、アドバイスやメッセージをお願いします。

アートヴィレッジとうおん構想に関しては、アーティストよりもアートマネジメントにやりがいを感じる方が向いていると思います。
僕はその整理ができずに苦しみましたね。
田舎暮らしに憧れている方は堪能できると思います。

PROFILE

高山 力造

出身:広島県

年齢:43歳

仕事:東温市地域おこし協力隊(アートヴィレッジ構想推進担当)

(演劇作家/舞台演出家)
九州大学演劇部で舞台を始め、福岡と北九州で約15年活動。演劇だけでなくコンテンポラリーダンス作品にも多数出演。福岡市内の専門学校や通信制の高校で舞台演技指導を9年間務める。2017年4月から東温市地域おこし協力隊として愛媛県東温市に移住。

※記事に掲載した内容は投稿日時点の情報です。変更される場合がありますので、ご了承ください。
※令和3年4月よりお問合せ先が東温市産業建設部地域活力創出課地域振興係TEL 089-964-4414に変わりました。

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