【密着】元地域おこし協力隊の「今」
みなさん、こんにちは!
東温市(とうおんし)移住コンシェルジュです。
今回は、元東温市地域おこし協力隊の2人がタッグを組み、廃棄される食材を使って商品開発に成功した!との情報を聞きつけ、奥松瀬川(おくませかわ)に行ってきました。
そんな元地域おこし協力隊の「今」に密着📷
森田 将史さん(写真左)
京都府出身
元東温市地域おこし協力隊(奥松瀬川地区担当)
現在は梨農園就農の傍ら、集落支援員(奥松瀬川地区担当)も精力的にこなす
廃棄される梨を使った「ドライフルーツ」やハーブとしても使われる「バタフライピー」の商品開発に成功
篠森 沙耶香さん(写真右)
埼玉県出身
元東温市地域おこし協力隊(井内地区担当)
現在は森田さんと一緒に「梨のドライフルーツ」と「バタフライピー」の商品を作る従業員として働く
当日は作業風景を見せていただけるとのことで、森田さん宅にお邪魔しました。そこでお二人に地域おこし協力隊退任後から「商品開発までの誕生秘話」や「就農の大変さ」などいろいろ聞いてきました🎤
協力隊の時から就農に興味があったんですか?
(森田さん)
当初「僕は地域おこしに来たんで農業は一切やりません、農家にはなりません。」と地域の人にも言ってました。そういう誘いも一切こんように最初に線引きドーンとしてました。
でも家庭菜園だけはしたかったから、自分が食べる野菜を家の前で作って、畑作業をしてる姿を地域の人に見せて、「こんな人間ですよ」という自己紹介をしてました。
(篠森さん)
こもってるだけだと、協力隊は何してんだろう?って思われるじゃないですか。家の前で畑仕事してるだけでも、「今日もおるな。」ってなるんで、姿が見えると違うんですよ。
就農を始めたきっかけは?
(森田さん)
ちょうど河之内の農家さんから、河之内の一番上の方で自然農法でお米作ってる人おるから、「そこで働いてみーひんか。」って2人に声かかって。とりあえず試しにやってみるっていう感じで、2人で行ったんです。
それから米農家で1年間農業してるうちに地域の人から、則之内(すのうち)で梨をやってる人が廃園にしようとしてる、引継ぎする人がおらんかったらつぶす。という話が来て。「あんたならやれるんじゃないか。」っていう話になって。
「とりあえずやってみよう。」と思って、それで梨農園に就農しました。
篠森さんはどうやって「梨」に携わるようになったんですか?
(篠森さん)
梨に関わるようになったのは、私が梨が好きで。もちろん森田さんも好きだけど、森田さん家につまみ食いに行ってたら流れで雇ってもらって。本当に森田様様です。
(森田さん)
梨の収穫と選果と出荷とか、そちらの方を就農の1年目から手伝ってもらってます。
女性の働き口まで森田さんが用意してくれたわけですね?
(篠森さん)
うちの息子が今年で4歳なので、長男がうまれてすぐ雇ってもらったんですよ。乳母車に乗せて、手伝いに行ってたから。
妊娠中、子育て中でも雇ってくれるとこなんかないですからね。今でこそきれいごとで「子供連れてやってきていいですよ。」って言うけど、実際のところ無理じゃないですか。正直言って。だけど、森田さんは泣いてあやしてても嫌な顔一つしないし、そりゃ当たり前やろみたいな感じでいてくださるし。
うちの次男なんか、お父さんより森田さんに会う回数のほうが多かったですからね👶
抜群の仲の良さですけど、タッグを組むようになったのは協力隊同期だからですか?
(森田さん)
この子はうちの家によう遊びに来てたんで。
(篠森さん)
泣きつきに(笑)森田さーんみたいな。全然違う井内の山の方に住んでたんで、そっから奥松瀬川まで泣きつきに行って、その時に今の主人と出逢って、まぁキューピットですよ。良かったんかどうかはよう言わんけれども(笑)今は幸せにやってます(笑)
(森田さん)
同級生ですからね。うちの子と。
(篠森さん)
そうですね。
梨農園の就農はズバリ大変でしたか?
(森田さん)
就農が始まるわけなんですけど、そっから苦労に苦労に苦労・・・。1、2年目は地獄でしたからね。
今年で就農4年目ですけど、1年目の梨は前任者が作っていた時から比べたら収穫的には三分の一になったんですよ。僕の栽培の技術が悪かったから。病気になるわ、そもそも実にならへんわ、どうしようもない状態になって、完全に1年目赤字やったんですよ。
2年目は多少マシになったけど、1年目以上に病気がすごいことになってしもて。
多少はアップしたけど黒字になったか、ギリギリか・・・とても生活費を稼いだというレベルでなかった。病気で捨てるやつがとにかく多かったんで、これはいかんと思って。毎年こんなんなるんやったら、捨てる量尋常じゃない。
3年目は逆に今度うまいこと行き過ぎて、収量があまりにもたくさんありすぎて、スピードが追い付かずに廃棄せなあかんなったっていう。収穫して売りさばくのに時間がかかりすぎて、次のやつがどんどん成熟して、完熟過ぎたのがいっぱい出てきてしもたんですよ。完熟過ぎて、悪くなってしまった。
1年目赤字、2年目多少黒字、3年目は収穫スピードが追い付かず廃棄、4年目がちょうどいいくらい。
廃棄は毎年絶対出てるので、何とかしたいと思った。
(篠森さん)
捨てる量が多いから、これが製品だったらって思うじゃないですか。
(森田さん)
病気にならへんでうまいこといったにしても廃棄が出てくるのは間違いないんで。
廃棄になる梨を何とかしようと商品開発がスタートしたんですか?
(森田さん)
梨が約2トン、廃棄処分になってたんですよ。綺麗な梨は箱詰め、2級品は価格を安くして販売、2級品以下は廃棄してたんですけど、それを使って商品にしています。サイズが小さいなどの規格外の梨を使って。
(篠森さん)
廃棄がもったいないよねって話をしてて、私は何も提案してないですよ。「こういうのやってみようかと思うんやけど、どう?」みたいな。「いいですね~。」って言ってるだけだったんですよ。
どうしてドライフルーツに辿り着いたんですか?
(森田さん)
例えば砂糖を加えるだけでも、加工になって。手が加わると営業許可がいるんです。ジャムも考えたけど、加工場のハードルがあり、乾燥機にいきついたんです。
営業許可の必要のない加工品って何かな?っていうのを調べて、そん中でも梨が使えそうなやつ。その過程でちょうどドライフルーツになりました。
ドライフルーツの作り方を教えてください
(森田さん)
皮むきは手作業です。スライサーでスライスしてすぐに干します。すぐに干さないと変色してしまうので。
乾燥機に並べて、65度に設定して8時間、取り出す前に1時間乾燥機で干して完成です。1台でできるのは3袋分のみなんです。
「新水」「豊水」「南水」の3種類の梨をミックスしています。
現在は乾燥機何台でまわしているんですか?
(森田さん)
4台です。東温市の補助金(中小零細企業まるごと応援補助金)を使って、増やすことができました。
乾燥機が増えた経緯は?
(森田さん)
試作品を市役所に持って行った時です。
その時に地域活力創出課の課長から「こんな補助金あるよ、ここまで持ってきてるんやったら補助金使って拡大したら?」って言ってもらえて。
たぶん手ぶらで行ってたら、何も言われんかったと思うんですけど。もうここまでできてるよっていう物を見せたんで、今のやり方を拡大するならその補助金が使えるよって言ってもらって。元々自分で乾燥機を1台ずつ増やしていくつもりでおったんで。
(篠森さん)
すごいですよね~、補助金ありきじゃなくって。もうやってて、営業に行ったら声かけてもらったんですもん。
営業にはかなり行きましたか?
(森田さん)
営業というか、とりあえずできたので、食べてもらって意見聞きたかった。始めた頃なんかまだ輪切りで分厚かったんで、これでいいんかどうかすらわからなかった状態やったんで。商品にはなったけど…という状態だったんで。それでちょっと意見聞きたかったんですよ。色んな各地に持って行っちゃ配り、意見聞いてました。
とにかく色んな地域のおっかさん方に食べてもらってるんで、「とにかく良い意見はいらんから、悪い意見だけ言ってくれ。」って言うて。
(篠森さん)
いらんのかい(笑)良い意見も欲しい。あ、でも良い意見は頼まなくても言うてくれますもんね。
(森田さん)
美味しいとかそんなんはいらんので、とにかくあれがあかん、これがあかん、というのを言うてくれ。そのあかんのを省いていこうと思ってたんで。
バタフライピーはどうやって誕生したのですか?
(森田さん)
地域の人がやってはったのを参考に。
聞いたらバタフライピーはハーブ言うんで、ハーブは雑草みたいに強いし結構育てやすいかもと思って。ネットで調べてもそんなに難易度高くなさそうやったんで、いけるかなと。「とにかくあかんでもええし、やってみようか。」みたいな感じで。今は自宅の前の畑で栽培してます。
バタフライピーの栽培は大変でしたか?
(森田さん)
最初思ったよりも芽が出えへんかったんです。ほぼ9割出えへんかった。もう1回種買って、芽を出すやり方を勉強して、そしたらある程度出たんで。苦労したんはそれぐらいですかね。豆なんで、出だしたら強いんで。花が1日の花なんで、朝咲いて夕方っていうか夜くらいにはシュンってなってしまうんで扱いは大変ですけど。
バタフライピーはどのように作りますか?
(篠森さん)
3日、天日干しです。よく見るおばあちゃんちの縁側に吊ってあるようなやつに入れて、そのままです。
(森田さん)
乾燥機でもやったんですよ。そしたらパリパリになりすぎるし、機械に青色が残るんですよ。
青い汁が出るんですけど、そこには色んな栄養分が入ってます。さすがハーブやなって感じ。
販売場所とお値段を教えてください。
(森田さん)
ドライフルーツもバタフライピーもどちらも1袋、500円です。
現在は「ほっこり奥松」のみで販売しています。
最後にみなさんへ「これだけは伝えておきたい」ことはありますか?
(森田さん)
個人的にはこういう商品作りたかったんは、うちの奥さんが描くイラストを表に出したかったんですよ。
それを出そう思ったら、僕が商品を作ってシールにして商品に貼ったら表に出せるんで。
看板なんかは地域のためという大名目のもと、僕の個人的な欲望でうちの奥さんのイラストをいろんなところに飾りたかったっていうのがあるんですよね。
看板左下のキャラクター「ほっこりちゃん」は森田さんの奥様のオリジナルキャラクター
この商品については個人でやってることやから誰にも文句言われへんし、気も使わずにシール使って色んな人に配れば「誰これ?」っていう感じで「ほっこりちゃん」の名前が出てるっていう。そんな風にするっていうのがそもそものきっかけではあるんです。個人的にはですけど。
(一同)
愛がこもっていますね♡
(篠森さん)
一昨年から梨の箱にもほっこりちゃん登場してますんで、また見てみてください。
私はドライフルーツ、子供に食べてほしいです。無添加で身体にもいいし、そこらへんのおやつ食べるより全然いいと思うので、ぜひ保育園とかでも扱っていただけたらいいなぁと。
ほっこりエピソード
(篠森さん)
子供がいるんで、つまみ食いしようとしたり、作業途中で泣かれたりするのがすごく困ります。衛生上よくないので、子供を寝かしつけてからやることになったりとか、綺麗な状態でやりたいので。作業部屋にカギをつけたいなと思ってます(笑)🔑
(森田さん)
うちの子、梨もドライフルーツもほとんど家では食べんのですよ。だけどこれがね、おじいちゃんとこに置いてあったら、おじいちゃんとこのドライフルーツは率先して食べて「なくなったらまた買ってね。」って言うらしいんですよ。うちの娘、ものすごい営業マンなんで。よその家行ったら、梨もドライフルーツもむちゃくちゃ食べるらしいんですよ。うちの家におるときは全然食べへん(笑)
まとめ
元地域おこし協力隊がタッグを組んで、商品開発した事例は珍しいのではないのでしょうか。
梨農園に就農し、廃棄に心を痛める中、それらの梨を使いドライフルーツに。
地域の様々な方々の声も取り入れながら改良を重ね、地域に根差した商品ができました。
取材中に立ち寄った「ほっこり奥松」では、森田さんの箱入り梨を持つお客様に遭遇しました。
「森田さんの梨は美味しいんよ。」と私たちに宣伝してくれました🍐いつかフレッシュな梨も食べてみたいです。
今回ご協力いただいた、森田さん、篠森さんありがとうございました。
お二人の協力隊時代のインタビュー記事もぜひご覧ください◎
※記事に掲載した内容は投稿日時点の情報です。変更される場合がありますので、ご了承ください。
※令和3年4月よりお問合せ先が東温市産業建設部地域活力創出課地域振興係TEL 089-964-4414に変わりました。